企業の人事担当者・卒業生に聞く「多摩美への期待と実績」

多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに、多摩美に求められる期待と実績について尋ねました。

株式会社
ディー・エヌ・エー

トレンド先取りの授業・課題、
産学官連携の充実度に注目。

スマホゲーム開発や、横浜DeNAベイスターズ運営をはじめとし、事業領域にこだわることなく、幅広い産業でモバイルインターネットサービスのノウハウとAIを活用した、新しい価値を創出することを目指す。
dena.com/jp/

ヒューマンリソース本部
新卒採用部
和泉 純一さん
1999年|デザイン卒

開発の初期段階からデザイナーが
携わることが増えている。

当社ではここ数年、デザイナーが新規事業やサービス開発の初期段階、企画の上流フェーズから関わることが増えています。どんな体験をどんなプロダクトでお客様に届けるのかを、デザインの作法にて、エンジニアやプランナー、事業責任者と一緒に考えつくります。そうした背景もあって当社のデザイナー職は約250名と多く、10数名の多摩美卒業生が在籍しています(他の職種も含めると20名以上)。当社は、ゲーム事業を主軸としつつ、自動車や医療分野など非IT産業の領域でインターネットとAIを使ったサービスにより、新しい価値の創出をするということに力を入れています。こういった新規サービスの場合、実際に動くモノや目に見えるカタチでプロダクトを手早く作成、検証をすることが求められます。それを担うデザイナーはプロジェクトを推進するためには必要不可欠な存在です。新卒で入社した寿福などは良い例で、入社後からそういった体制での新規サービス開発の業務に携わっています。

私は新卒の採用担当として日本中の大学や専門学校を数多く見て回っていますが、多摩美が恵まれているポイントがいくつかあると思っています。学びたい領域における選択肢の幅。実社会における問題提起的なカリキュラム。専門性の高さと技術的トレンドを先取りした実践的な授業。特筆したいのは産学官共同研究の充実度ですね。企業からの注目度も高く、インターンシップへ繋がるチャンスも多い。これらは日本でも間違いなくトップレベルかなと。そういった環境で学ぶ皆さんには、ぜひ、様々な目標やビジョンを持ってうちの会社へ来てほしいですね。新しいナニかで、たくさんの人を驚かせたり喜ばせるでもいいですし、モノではなくコミュニケーションをデザインするでもいいし、数年後のライフスタイルを変えてやるんだとか、地域の問題を解決してやるぞとか。当社は、そんな正解のないコトへのチャレンジができる会社だと思っています。

UI / UX*デザイナー
寿福 まりかさん
2015年|情報デザイン卒
 

UI=ユーザーインターフェイス。ユーザーが、製品やサービスに触れる際に操作する部分のこと。
UX=ユーザーエクスペリエンス。製品やサービスの利用を通じてユーザーが得る体験のこと。

優秀なエンジニアから「一緒に作ろう」と言われた、学生時代。

高校時代、グラフィックとインターネットに強く興味を持っていたので、その両方を学べる情報デザイン学科を受験しました。

在学時アルバイトしようと考えた時、「どうせなら自分が作ったものでお金を得たい」という思いから、知り合いの会社のウェブデザインなどを請け負うようになり、それがきっかけでIT・ウェブ系のデザイナーを目指すようになりました。将来の進路としていろいろな企業を調べるなかで、私としてはデザイナーとして限られた仕事をするというよりは、ビジネスの現場で営業やエンジニアの方たちと一緒にものを作っていきたいという気持ちが強くありました。そのイメージに一番マッチしていたのが今の会社だったのです。

入社したての頃は、とにかく「自分の作ったものを世に出したい」ということが目標だったので、ウェブデザインでもアプリでも、これと絞らず何にでも取り組みました。さらに最近は、ディレクション業務や企画にも興味が出てきて、どんどんやりたいことが増えていっています。現在はUI/UXデザインという仕事をしていますが、大学で学んだサービスデザインの概念は、特に業務で役立っています。1ヵ月間雑貨店に張り付いて顧客の行動を観察し、「この人はこう考えるからこそ、ここにお菓子が置いてあるんだ」といったことを考察していると、ただ物が並べられている思った店舗でも、置かれる位置にすべて意味があることに気づきました。これは今でもデザインする上で意識していることです。

多摩美に入学したことが将来に対するチャンスを広げてくれたと、今強く感じています。インターンも10社ほど経験しましたが、社会との接点が多いことは多摩美の魅力の一つですね。また、多摩美生の造形力は広く知られているので、優秀な大学のエンジニア志望者に「一緒に作ろう」と誘われることも多々ありました。このように、在学時に社会とつながる体験ができたことは、とても貴重だったと思います。

卒業前から加わった、コミュニケーションアプリ『Mirrativ(ミラティブ)』。
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UIデザイナー
佐藤 遥さん
2012年|グラフィックデザイン卒

アナログ的な技法から最先端技術まで
試して悩める環境が財産に。

友達に喜んでもらえることが嬉しくて、子どもの頃はゲームのキャラクターの模写ばかりしていました。私は、人に楽しんでもらえるポジティブな作品を作ることが一番嬉しい。その思いが、今の仕事につながっています。

入社後、最初に携わったのは海外向けゲームアプリの開発・運用でした。キャラクターの制作や外注管理などに2年弱携わったのですが、そこで感じたのが、ゲームを作るという上では、作業には外部パートナーに任せて十分な部分があること、運用の重要性、そして、「良いゲームを作るためには、サービスを作る上で一番大事な部分であるUIを理解しないと厳しい」ということでした。UIはユーザーに直接触れる部分であり、どう楽しんでもらうかという根底的な部分にかかわってきます。そこがこれからの自分の課題だと感じ、UIデザインチームへ異動させてもらい、今に至ります。

在学中はグラフィックについて広く勉強しましたが、中でも印象に残っているのはブックデザインの授業ですね。ユーザー体験、つまりどう人に興味を持ってもらうか、読みやすくするか、驚かせるかといったことを学びましたが、本かスマホかという媒体の違いだけであって、現在取り組んでいる業務と同じだと感じています。他にも、基礎的な学びで今に生きていることは多々あります。あるテーマに基づきデザインの提案をする、という授業がありましたが、これも今の業務と変わりません。例えばIP(過去のアニメ作品など)のゲームを作る時、その世界観を壊さずに現在の解釈で分解、再構成をする作業を行うのですが、これなどはまさに基礎課程などで学んでいたことと同じです。

多摩美では、アナログ的な技法からPCツール、アニメーションや3Dなど最先端技術、またデザイン全般の知識を学びました。それを片っ端から試して悩める環境があったことは、とても財産になっています。

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UIデザイナーとして携わった海外市場向けゲーム『Empire of Bones』。
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