多摩美術大学 生涯学習プログラム あそびじゅつ

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講座レポート

2018年8月4日(土)

あそびじゅつレポート

「あれっ!? つまようじが絵の具になって、絵に変わる」

絵を描く道具って、いつもなら、鉛筆やクレヨン、絵の具やペンといったものだけど、この日は、身近にある小さくて細いつまようじだったね。「え?つまようじでどうやって?」って顔していたけど、先生がボードの上に小さな穴あけて、そこにつまようじを立たせてボンドでくっつけたら、なるほどね、っていう表情をしていたね。すぐに取りかかりたいって気持ちが伝わってきたよ。
実際に、つまようじを立たせて絵をつくるまでの間に、いくつもの工程があって、いろいろな絵をつくったね。トレーシングペーパーに描いた下絵の線画。下絵とボードを重ね、千枚通しで輪郭線に添って小さな穴を開けていった点描画。その穴にやっと、つまようじを立てて、ボンドで固定してつくったつまようじの絵。ついさっきまで平らだった絵に、立体感が生まれ、つまようじの影もでてきた。しかも、横から、上や下から、斜めからと、いろいろな角度から絵を観察することができる、ちょっと今までの絵とは違った世界があらわれてきたね。
そして、ここで使った色は、赤、青、黄、白の4色だけだった。実験しながら混色して、たくさんの色が自分のものになったかな。
材料や道具、描く方法は探せばいくらでもあるかもしれない。そうして、みんなの考えや表現の幅が広がっていったらいいな。

物事は発想の転換次第で、さまざまな可能性が広がります。ここでは、身近な道具が、考え方次第で描画材料になったり、描く表現につながったりするおもしろさにふれていきました。1本の小さな棒(つまようじ)を立てて並べることで、絵の世界が変わり、上下左右、さまざまな角度からの変化や陰影を楽しむことができました。棒のとらえ方―上から「点」として見るか、側面から「線」的に見るか―によって表現の在り方を考えるきっかけとなり、点から線、面への関係性に気づくことができたのではないでしょうか。また、3原色+1色による限られた色からつくる混色のおもしろさや、着色したつまようじが隣り合う色に影響し合って、色が浮かび上がること、色と色が重なることなど、さまざまな発見があったかと思います。つまようじを立てて描くことは容易ではなかったでしょう。困難さのなかで、失敗、工夫、成功を繰り返し、試行錯誤しながら、つくること、表現することを、方法や素材を通して考えを深められたかと思います。身近な生活のなかにもそうした視点/思考が広がっていくきっかけになればと思います。

<文:大塚藍>

講師:

大塚藍(鑑賞教育研究者、
元本学グラフィックデザイン学科非常勤講師)

場所: 多摩美術大学美術館
対象: 小学1~6年生
人数: 40名
【多摩美術大学生涯学習センター】
〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723 Tel. 042-679-5707
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