2011年秋冬期講座

講座番号
3120

ことばとともに見る日本美術

見る楽しさを知らせてくれる日本美術の嬉しい言葉たち。それは日本美術の特性を表しています。「見立て」という芸術の新たな方法をこの国は見出しました。そんな魅力ある言葉がどのような芸術の世界をつくり上げたのでしょう。言葉と作品のつながりを見ながら覗いてみましょう。

講座内容

第1回 「金地」―金銀を用いる日本美術の装飾性
第2回 「散らし」と「尽くし」―モチーフと文様の構造
第3回 「葦手」―文字がつなぐ美術と文芸の関係
第4回 「風流」―見立てや仕掛けにみる美術と趣向
第5回 「南蛮」―異国や異文化との出会い

開講日 2011年10月19日~11月30日の水曜日(11月2日、23日除く) 全5回
時間 14時00分~15時30分
場所 上野毛キャンパス
受講料 9000円
定員 30名
申し込み締切 9月28日必着
講師 日高薫[美術史家、国立歴史民俗博物館教授。専門は漆工芸史。著書に『日本美術のことば案内』]

コラム 「ことばと作品」

海老塚耕一<美術家・本学教授>

日本の美術に心を寄せたとき、そこにはいつも言葉があった。たとえば、雪舟の《破墨山水図》に東京国立博物館で出会った頃、まだ中学生だったか、「破墨」という言葉にも同時に出会った。意味などわからずに作品を夢中になって幾度も見ていたのだが、いつの頃からか言葉の意味を知り、輪郭線のあり方、調和を破りさらに高みの調和へと向かうというそのあり方を知り、作品がその時から、また、よりひろがりを持ったことを覚えている。その時同時に「發墨」という素敵な技法、想い、言葉とも出会うことができた。

言葉と作品の関係を知ることは楽しい。それはビュトールの『絵画のなかの言葉』で著された西洋の世界とは異なる。その差異が美術の面白さであり、眼差しの本質的な違いなのだと思う。ここで少しだけ日本の言葉、美術の物と事を表す言葉に戻って、作品と戯れてみるのも楽しいのではないだろうか。

「剽軽」から「かぶく心」までの距離のなかで、中世の侘茶の精神が、奔放な遊び心が、近世の人々の心をとらえ自由奔放な姿に結びつく、それは言葉と作品がともに生きた証ではないか。そんな寄り道が今、楽しい。