2011年度春期講座

講座番号
1117

アジア美術の今―不可思議な美術の集合

ヨーロッパ中心の眼差しが、急速にアジアへと移行し、今やどんな国際展でもアジアの作家が主要な位置を占めています。この現在の刺激的なアジア美術の動静を、異なった視点(画廊主、新聞記者、国際展コミッショナー)を持った3名の方にお話しいただき、最後に鼎談します。

講座内容

第1回 日韓の様相―郭仁植ともの派以前を始点に(上田雄三)
第2回 今アジア現代美術に興味を持つ理由(菅原教夫)
第3回 グローバリズムとアジア美術(建畠晢)
第4回 鼎談―美術史のなかでどのように生きるのか(上田、菅原、建畠)

開講日 2011年5月21日、6月11日、25日、7月9日の土曜日 全4回
時間 13時00分~14時30分
場所 上野毛キャンパス
受講料 8000円(1回ごとの受講も可能・1回2700円)
定員 30名
申し込み締切 4月27日必着
講師 上田雄三[ギャラリーQ画廊主、本学非常勤講師。日本の若手作家、アジア作家を積極的に紹介]
菅原教夫[美術ジャーナリスト。読売新聞文化部を経て、同社編集委員。著書に『レディメイド』]
建畠晢[美術評論家、詩人、本学客員教授、京都市立芸術大学学長。アジアの美術展にも携わる]

コラム 「アジアの美術―中心の移動」

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海老塚耕一<美術家・本学教授>

世界は格差だらけだ。いわゆる現代を生きている文明は、その昔生きられた文明を征服したそれである。文明の誕生といった言葉には、進歩する、つまりより良い生活に向かうといった印象を与えられる。果たしてそうなのだろうか。

ぬるま湯のなかで日本は脆弱になっていった。というより幕末・明治ごろよりひ弱であったのだが、それ以前の知的な日本人のおかげで上手く生きられてしまったといった方が良さそうだ。産業化され、経済的に潤った社会が、それ以外の社会よりもすぐれているとは、すでに考えられない。

けれども、今、アジアの美術はそんな大国、あるいは発展する国の力をまざまざと見せつけてくれている。それに慌てているのが先を歩んでいると考えていたアメリカや日本をはじめとする国々だ。中心の移動があからさまになった。こんな時こそ、ゆっくりと美術について考える時なのだと思う、それが文化となるような。そのためにも私たちが属しているアジアの美術の現状を覗いてみたい。

写真=Kang Tae Hun(韓国)《Birds don't sing anymore》「釜山ビエンナーレ2010」より