2012年度春期講座

講座番号
1116

美術館のかたち―人々が美術に出会うまで

多くの人が足繁く訪れる美術館。その魅力あふれる作品の集まる「場」はどのようなシステムで成り立ち、そこではどのような人たちが働き、何をしているのでしょう。さらに作品を保管し、収蔵するにはどのような工夫があるのでしょう。そんないろいろをお話しいただきます。

講座内容

第1回 美術館という怪物(海老塚)
第2回 変化する美術館と国際展(逢坂)
第3回 古美術と美術館活動(渡川)
第4回 展覧会の裏側と美術品輸送の流れ(池谷)
第5回 美術品の梱包演習―小品から仏像まで

※第1回のみNo.1115「小さな美術館と画廊をめぐる」講座と合同になります。
※第5回は実演と演習を予定しています。

開講日 2012年5月11日(金)、17日、31日、6月14日、21日の木曜日 全5回
時間 【講義/第1~4回】14時00分~15時30分 【演習/第5回】13時00分~15時00分ごろ
場所 【講義/第1~4回】上野毛キャンパス 【演習/第5回】ヤマトロジスティクス東雲倉庫(江東区)、現地集合・現地解散(雨天決行)
受講料 1万2000円 ※交通費は各自お支払いいただきます。
定員 30名
申し込み締切 4月17日必着
講師 池谷孝雄[ヤマトロジスティクス株式会社にて、長年、モネ展等多くの美術品海外輸送に携わる]
海老塚耕一[美術家、本学教授。素敵なあそびとしての美術の楽しさを、制作と理論から探る]
逢坂恵理子[横浜美術館館長。ヨコハマトリエンナーレ2011他、数多くの現代美術展を企画]
渡川直樹[五島美術館学芸課長。国宝《源氏物語絵巻》をはじめ日本古美術の研究、展覧会を企画]

コラム 「“ただひとつ”を守るために」

11sp06_museum.jpgさまざまな美術との出会いが待つ美術館では、年間いくつもの展覧会が企画されています。国内外の作品が一堂に集められ鑑賞できるのは、もはや日常的なことですが、そうした展覧会の開催には多くの専門家がその一翼を担っています。

なかでも普段私たちの目にふれることのない美術品輸送の現場では、作品を保護するための細やかな技術が研究され、工夫が生かされています。たとえば梱包作業に多用される「薄葉紙」は、表面がなめらかで刺激が少なく、一方向に裂けるように漉いた、繊維の長い和紙です。包むだけでなく、裂いてつなぐと強度のある紐にもなり、使い方次第であらゆるものを梱包できるといいます。梱包素材も作品の形状や材質に合わせることで、美術品は唯一無二のものとしてその姿を保つことができるのでしょう。

本講座の最終回では、梱包作業も体験します。美術館を訪ね、目の前の作品がどのような道程を経てきたのかに想いを巡らせてみるのも、美術にふれる楽しみのひとつとなるのではないでしょうか。

 (文・石井葵〈事務局〉)

写真=幾重にも包まれ、守られて運ばれてきた作品が姿を現す(提供:ヤマトロジスティクス株式会社)