講座レポート

連続講座「世紀を歩く―美術と文化 Ⅷ:11世紀」

【2018年4月21日~2019年2月23日(土)】

2012年から連続して開講している「世紀を歩く」シリーズ。第8シーズン目となる今年度は「11世紀」。芸術や文化を軸足に、人類の文化の多様さを確かめていきます。

4月21日(土)の第1回は、本講座のプロデューサーであり、美術家で本学教授の海老塚耕一さんです。
「はじめに―なぜ11世紀か」と題して、西の文化の没落と東アジアの発達から、東西の比重の転換が決定的になりかけた、この時代の面白さやポイントをお話しいただきました。

第2回からは、同時代に起きた文化や出来事に焦点を当てていきます。例えば、日本では道長の時代、末法思想の流布による阿弥陀仏信仰の実態や紫式部をはじめとした女流作家が綴る文学の世界。西洋では、地中海世界の民族移動がもたらしたビザンツ帝国の国家威信と社会構造の変革。紀元千年という時代から見るロマネスク美術。また、『ロシア原書年代記』を中心とした文献から探るキリスト教内面化の様相等々···。さまざまな角度とそのつながり・作用から11世紀がどのような時代であったかをとらえていきます。

こうして各回ひとつずつ背景を紐解いていくと、歴史の中心となりがちな西洋社会だけでなく、それぞれの地域や民族が異なった時間を歩み、特有の思想や文化を創っていることに気づかされます。

全20回の講義を終えたとき、11世紀は私たちの目にどう映るのでしょうか。

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